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妖術秘伝・鬼打鬼の0000のレビュー・感想・評価

妖術秘伝・鬼打鬼(1981年製作の映画)
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これはすごい。
とにかく闇鍋のようなカオティックで禍々しいパワーがみなぎってる。

『霊幻道士』シリーズの原点的扱いだけど、『霊幻道士』がホラーというよりは怪異譚とか伝統的な怪談(ないしはハマーのドラキュラものなど)の語り口であるのと違って、これは普通にモダンホラーっぽい。しかも笑いの感覚もふんだん。かなり現代的に感じる。ゴア描写も普通にあってそれは前々年の『ゾンビ』や前年の『サンゲリア』を受けてなのだけど、それらと根本的に違う感覚が流れている。どれくらいリアルな感じの特殊造型で見せてどれくらいは嘘くさくてもいいか、どれくらいはおふざけでもいいか、みたいな勘みたいな部分が、ホラー映画史的には『死霊のはらわた』で作られた『死霊のはらわた』以降の感覚なんじゃないかと思うのだけど、『死霊のはらわた』はこの映画の次の年に公開された映画。

キョンシー(殭屍)は直訳すると「硬直死体」みたいな感じらしくて、だから関節が曲がらずぴょんぴょんするって認識らしく、中国では昔からたぶん「死体なんだからもし蘇ったら死後硬直してるはずだからぴょんぴょんするよね」っていう前提があって、なのでこの映画でもぴょんぴょんするんだけど、何というかまあ硬直してるゾンビであって、中国の伝統衣装も着てるけど、後のキョンシーブームで概念化されたいわゆるキョンシーとは言えない感じがある(息を止めればセーフとかそういうのない)。硬直腐乱ゾンビって感じ。そのゾンビも映画のメインじゃなくて、メインは呪術合戦で、最後は味方の呪術師の呪術によって何かが憑依して目が逝っちゃってるサモハンと、妻の浮気相手のジジイも自分が雇った悪者側呪術師に操られ、カンフーバトル。っていうよく思いついたなそんな話、っていう……。

音楽がジョン・ウィリアムズとかジェリー・ゴールドスミスみたいなクラシック調のやつ(のたぶん無断流用)が真面目な感じで流れてて、笑うとこなのかどうかわかんなくなってるところが多々あってそれもよかった。

ウジ虫の代わりにミルワーム使ってる。
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