たけちゃん

北北西に進路を取れのたけちゃんのレビュー・感想・評価

北北西に進路を取れ(1959年製作の映画)
4.5
あなたが魅力的すぎたんです……


アルフレッド・ヒッチコック監督 1959年製作
主演ケイリー・グラント


勝手にお知らせシリーズ「今日は何の日」
1日過ぎましたが5月8日はタイトル・デザイナーのソール・バスの誕生日でした。


【ソール・バスとは?】
ご存知ない方も多いと思いますが、ソール・バスはグラフィックデザイナーです。

1920年5月8日、ニューヨーク生まれ。
今年で生誕100年なんですね!
初期は映画のポスターや予告編作りを行い、1950年年代から映画のタイトル製作を始めたようです。ちょっとだけ作品をあげると「七年目の浮気」「ウエスト・サイド物語」や「スパルタカス」など巨匠監督の大作も彼の作品です。

ヒッチコック作品では、僕の大好きな「めまい」や「サイコ」のオープニングをこの方が作りました。特に、「サイコ」はあのバスルームの絵コンテをソール・バスが描いたとかで、印象的な作品作りに一役買っています( ˘ ˘ )ウンウン
ヒッチコックとのコラボは、今作「北北西に進路を取れ」を加えた3作のみなんですが、どれも名作なので、ソール・バスの名前を高めることにも繋がっているんですね。
そこで使われた手法が"キネティック・タイポグラフィ"なんです。


【キネティック・タイポグラフィとは】
よく分からないので、調べてみたんですが、文字を動かしてアニメーションにする技法のようで、映画タイトルに初めて使われたのが、この「北北西に進路を取れ」のようです。
この動きのある表現により、文字自体に意味が生じましたよね。ただの情報の伝達とは違い、生き生きとしているというか。これにより、オープニングクレジットを楽しめるようになりました。
オープニングシークエンスとかタイトルの出し方に工夫のある映画はハズレない気がします。
ソール・バスはその先駆けということで、覚えておきたいですね。






さて、映画です。
今作は典型的な巻き込まれ型サスペンスです。
ケイリー・グラント扮するロジャー・ソーンヒルがあるスパイ組織の架空の人物ジョージ・キャプランに間違われたことにより、敵スパイ組織と警察の両方から追われるようになるんです。
そこに、敵組織に潜入している女性イブ・ケンドールとの恋愛が絡むストーリーはまるで007。下手なスパイ映画以上にスパイ映画のような演出で、アクションも見事。ハラハラさせるヒッチコック版007でした。ラストも含め、007の方がこれを真似したのでは?と思うほどです。
だって、製作年の1959年は007の第1作「ドクター・ノウ」よりも前ですからね。さすがヒッチコックというべき作品です。

有名なセスナに追われての"僕は死にましぇん"シーンやラシュモア山に刻まれた大統領の顔でのアクションなど見どころいっぱいの作品です。


邦題の「北北西に進路を取れ」は、よく出来た名前と思いますが、原題の「North by Northwest」は"北北西"ではありません。
北北西は"north-northwest"で、原題は「ノースウエスト(航空)で北へ」のような意味ですよね。ヒッチコック自身は、ファンタジー色を出すために、わざと曖昧な題にして、現実感を薄めたようです。
実際、北北西に向かうシーンなんてありませんからね。


音楽はおなじみバーナード・ハーマン。
ティンパニーに導かれ、オープニングクレジットから印象的な曲が流れていましたよね~。スリリングでほんとに上手く映画を盛り上げていました。
MGMのロゴが出るところから既に良い。
この段階で今作が面白いのが分かります( ˘ ˘ )ウンウン
そして、クレジットが出ます。
これがキネティック・タイポグラフィ。
ストライプのラインと窓が重なるところで唸っちゃいますね。
今でこそ、コンピューターグラフィックによるタイトルに慣れていますが、当時としては本当に画期的。素晴らしいと思いました( •̀ω•́ )و✧


面白かったですね~。
素人の主人公がこんなに活躍できるかはさておき、巻き込まれ型サスペンスでは、今作が1番好きです。脚本の良さに加え、演出の上手さが光ります。
おすすめです(^o^)ノ





【おまけ:ヒッチコックを探せ!】
冒頭見逃さなければ、すぐ気づきます!
クレジットの最後、監督:アルフレッド・ヒッチコックの文字の後、バスに乗り遅れるのがご本人(ˆωˆ )フフフ…、オチャメ