茶一郎

ブラウン・シュガーの茶一郎のレビュー・感想・評価

ブラウン・シュガー(2002年製作の映画)
3.0
『ヒップホップと恋に落ちたのはいつ?』
 
 しばしば恋愛において『好きな人の好きなものを好きになる』現象というものがあるようだ。今作はまさに、『ヒップホップ』を知り、好きになったきっかけである幼馴染への想いが交錯するラブロマンスである。
 
 監督は「バットマンVSスーパーマン」(2016)で初登場した韋駄天男フラッシュの単独映画「The Flash」の監督に抜擢されたリック・ファムイーワ(ファミュイワ)氏。自身がアフリカ系アメリカ人ということもあり、フィルモグラフィにはアフリカ系の文化が基盤にある作品が立ち並んでいる。
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 劇中では『ヒップホップが大人になった』と表現されるヒップホップがストリートからメインストリームに入る過程と同時に、文字通り大人になった男女が主人公だった。

 今作において
『ヒップホップと恋に落ちたのはいつ?』
という質問が繰り返されるが、これはダブルミーニングで『ヒップホップ』が相手の『幼馴染』のことを含んだ意味になっている。彼らにとっては、ヒップホップを知った時と幼馴染と恋に落ちた時は同時だった。
そのヒップホップがメジャー化することで、元にあったストリート文化からかけ離れたものになってしまう。また、これも違う女性に恋をする男、仕事一本で恋愛を捨てる女性の様子に重ねられる。

 男女のすれ違いが、それぞれのヒップホップに対する付き合い方とリンクする。大変、煩雑な人間模様とアグレッシブなオトナの恋愛に困惑しつつも、最後には『あら素敵♡』と締まるので、後味は最高だった。
茶一郎

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