開明獣

襲い狂う呪いの開明獣のレビュー・感想・評価

襲い狂う呪い(1965年製作の映画)
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このDVDを見つけたのは偶然だった。仕事で訪れたとある私鉄沿線の商店街に、寂れたDVDや CDのセル専門店があった。閉店セールとあったので、仕事を終えた帰り道に、掘り出し物はないかと物色していたら、顔色の異様に悪い店の主人が黙って段ボールを突きつけてきた。その中にあったのが本作だ。次にその店の前を通った時には既にシャッターは閉じられていた。

1965年制作の、ホラー小説の始祖的存在、H.P.ラブクラフト原作のカルトホラームービー。原作は「宇宙からの色」と言う短編で、クトゥルフ神話ではないSFもの。本作を皮切りに4回も映像化がされているが、これが最初の一本目。最新のものは、2019年のニコラス・ケイジの怪演が注目された、「カラー・アウト・オブ・スペース」。

上記の最新作と本作とでは、同じ原作なのかと驚くほど、全く違うストーリーになっている。主演はアメリカ人俳優のニック・アダムス。どこかで見た顔だと思ったら、東宝のカルト怪獣映画、「フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)」で主演を演じていた役者だった。

不思議なのは、ラブクラフト作品の中では、人気のあるクトゥルフ神話ものでもなく、ラブクラフト研究者の間でも、それほど評価の高くない作品なのに、何故4回も映像化されてるのか・・・決して内容的に映像化しやすいものでもないのに・・・。

謎の隕石が人体に影響を与えるというのがベースプロットで、それに対抗する術は基本、人類は持たない設定。人智の及ばぬ得体の知れない何かを描くのがラブクラフトのお家芸。

それから不思議なことが始まった。観終わって、処分用の段ボールにいれたはずなのに、何故かラックに戻っていた。一度ならば気のせいで片付けるのだが、何度も繰り返すので気味が悪くなり、納戸の奥にしまっておいた。

そしてレビューを一度書いたのだが、あまりにもマイナーな作品を紹介するのもどうかと思い、いったん削除したのだが、何故かいつまでも下書きに残っている。

このDVDを売っていた店があった街に昔から住んでいる人に、その店の話しをしたら、商店街にそんな店はないという。

このレビューをアップしたら、例のDVDをお正月に近所の神社に奉納してこようと思って納戸を探しに行ったら、しまったはずのDVDが見当たらない。広範囲に探したが、どこにもない。

もしもどこかの商店街で、このDVDを見かけたら是非購入してみて欲しい。そして、同じ現象が起こるのかどうか、検証して欲しい。
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