ヤマダタケシ

竜馬を斬った男のヤマダタケシのレビュー・感想・評価

竜馬を斬った男(1987年製作の映画)
3.0
2020年7月5日 新文芸坐で

この日観た二本立ては〝竜馬殺害二本立て〟で、一本目に観た『竜馬を斬った男』はタ
イトル通り(この作品の中では)竜馬を殺したとされている見廻組の佐々木只三郎をメイ
ンに描いた話だった。
 何となくだが、次の時代を生きる坂本、古い時代に留まる佐々木、古い時代の権力構造
の中で佐々木に対し歪んだ尊敬・愛情の念を持つ亀谷の三人のレイヤーがあったように思
う。その中で佐々木、亀谷の固執する古い価値観が際立つような。
 とか言いながら今作、そんなテーマ性よりもとにかく〝ショーケン映え〟の映画だった
ように思う。ショーケンは主人公・佐々木を演じている。作品が進むにつれ、佐々木は人
を何人も殺めて行く事によって、古い武士の生き方を守ろうとする事によって、次第に狂
って行く。その姿をショーケンが様々なバリエーションで演じてみせるのだが、とにかく
それが、その時の表情や仕草が一個一個面白い。妻とのイチャイチャから口に火を突っ込
む狂気まであらゆるショーケンが映えた映画だった。