点心

アルマジロ アフガン戦争最前線基地の点心のレビュー・感想・評価

3.8
 「すごい」という点で3.8なんだけど、この映像、生死をかけて戦っている状況、さっきまで人がいたところに煙がかかって「作戦が成功した」というすべてがフィクションではなく現実なのがつらい。

 最前線のアルマジロ、「なにもなかった」と帰ってくる兵隊たちの行動は、現地の人から見れば畑を荒らしている問題行動。言葉が分からない現地の子どもたちは兵士に「帰って」と言っている。話し合いのとき市民は常に困っている。

 兵士から見れば現地の人のだれが市民でだれがタリバン(敵)かわからない。それも怖いよなと思う。でも日々が続いて、戦闘でハイになる人もいる。瞳孔ひらきっぱなしで何人殺した、人が最終的にどんな形になっていたかを描写するさまがおそろしい。その話にのらない人もいるし、現地の子どものことを考える人もいる。

 制限された生活でもインターネットがあり、電話があり、作戦が終わればすぐに家族と連絡をとったり、画像を送ったりできる。ポルノも見られる。たぶんこういう精神状態じゃないとやってられない部分もあるだろうし、(人を殺して日常生活を送る普通って?)きっとこういう「経験した者にしかわからない」という感覚はあるし共有できない。だからたぶん「ラッキー」で主人公は退役兵に声をかけるし、日本でも外国でも退役軍人のグループがあって集まったりしている。でもそのようすを現代では映像で記録できるし、安全な世界から聞くことができて、「人を殺さないのが普通」の世界から聞くと看過できない。

 スマホのアプリで、画像を送ると世界の誰かに届くのがあって、たまに兵士につながっていた。最初一人で、つながったと分かると4-5人集まって、たいてい笑顔で送ってきていた。彼らはただ訓練していたのかこんな前線にいたのかはわからないけど、のどかな環境で暇を潰していたのか、ハイになっていたのかわからない。

 兵士たちから見るとタリバンは仲間に危害を加えた敵だけど、兵士たちが負傷するとデンマークに帰って治療を受けられて、また復帰できることを思うと、やっぱり全然環境が違うし、戦闘をやめてほしいとしか思えん。つらい。
点心

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