TaiRa

スチームバス/女たちの夢のTaiRaのレビュー・感想・評価

スチームバス/女たちの夢(1985年製作の映画)
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遺作が100%女優だけの女性映画になるロージーの凄み。

劇作家のネル・ダンが脚本なので演劇的な映画ではある。サウナという限定空間から出ずに女たちそれぞれの生き様を会話から表出させる作劇。サウナ内で上下含めた移動が頻出するので画的な退屈さは巧く避けてる。場所自体が主役であり、よく考えてデザインされたセットが見事。会話から女たちの人生と葛藤が提示されるが、これが今聞いても現在進行系の問題で古びないのが何とも。仕事や結婚、自由など、女たちを取り巻く境遇の普遍性がある意味残酷さを感じさせる。80年代当時に齢75の巨匠が撮り上げたスマートさにも感心する。ダイアナ・ドースやヴァネッサ・レッドグレーヴの覇気すら感じる佇まいも凄いがパッティ・ラヴのブチ切れ芝居が今作のハイライトを掻っ攫う。もちろん演劇的な大芝居なのだがそれを素っ裸で演ってる情報量の多さにもう気圧されるしかない。彼女がその後の展開で演説役を任されるのも納得しちゃう。シェルターとしてのサウナを守る為に女たちが連帯し、ハッピーエンドに向かって行くわけだが、無邪気に遊ぶ彼女たちの歓喜が刹那的にも見えるバランス。
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