みかんぼうや

幸せなひとりぼっちのみかんぼうやのレビュー・感想・評価

幸せなひとりぼっち(2015年製作の映画)
4.3
レビュアーさんたちの評価が高いことは前々から知っていたし、最近は「オットーという男」としてハリウッドリメイクされたこともあり、きっと良い作品なのだろうと思いつつ、頑固爺系作品は個人的に結構当たり外れが多いので(「セント・オブ・ウーマン」など全くハマらなかったので)、なんとなく敬遠していたが、そんな心配は全く杞憂。序盤から目頭熱くなりっぱなしで一つひとつのエピソードが刺さる刺さる。

頑固爺系の作品なのに、ドハマりした理由は明確で、序盤から主人公オーヴェの妻への愛情と幼少期からの思い出を回想シーンとして丁寧に描いてくれたから。序盤にオーヴェという頑固爺の人となりが分かり感情移入できたことで、彼の行動に苛立つこともなく、すんなりと彼の気持ちに寄り添えたのだと思う。

正直なところ、回想シーンも含めて、ベタな感動系エピソードの集合体のような作品だが、丁寧な脚本と演出と、その1つ1つのエピソードが人間の持つ優しさや繋がりの大切さに溢れた内容で、それらが畳み掛けてくることでその勢いに心が持っていかれた。

きっと、妻のサーニャにとっては、オーヴェが笑いながら近所の人たちと話している姿を見ることが何よりも天国での幸せだったに違いない。周りの人を大切にしたいという思いと思い出を大切にしながらも前を向いて今を生きたいという気持ちになれる温かく素晴らしい作品だった。
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