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幸せなひとりぼっちのoimoのネタバレレビュー・内容・結末

幸せなひとりぼっち(2015年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

生真面目な男が妻に先立たれて偏屈さに磨きがかかり、生き辛さと孤独に追い詰められて自殺を決意するところから始まる、スウェーデン産ハートウォーミングコメディ。


死のうとする度に入る走馬灯で徐々にオーヴェの人生が紐解かれて行って最後にひとつに繋がる構成が面白かった。
んん??今回の走馬灯長いね??!って毎回なる(笑)
奥さんのソーニャは天使みたいな人だったけど、オーヴェもひたすら実直に頑張ってきた素敵な人だった。
何度トライしても未遂に終わってしまう自殺計画、ソーニャが阻止してくれていたように見えた🥲


傷を癒すのは時間だとよく言われるけど、一番大切なのは人との繋がりなのかもしれないなぁ…。

ただ、あそこまで拗らせてしまっているのに自分で考えと行動を改めて行けるような老人は現実にはまず存在しないし、近隣を毎日徘徊して怒鳴りまくってるヤバい隣人に構い続ける人間も、現代の、特に日本には絶対に居ないので、ヒューマンドラマよりは『アメリ』的な日常ファンタジー感の方が強かった。
だけど、考え方の古い頑固老人や夜中に騒音パーティーを開く隣人にも素敵な所は必ずあって、それを見付ける為の根気強さと寛容さは自分を含め現代人全員に必要だよなと感じる。それは相手の為や平和の為とかではなくて、自分自身の為に。
”自分を尊重しない人間は切れ”とか”少しでも違和感のある人間関係は捨てろ”なんて言説が主流になってる現代だけど、それじゃもう誰とも真に繋がることなんて出来ないんじゃないかと常々思う。そんな100%自分にとってメリットしかない、違和感の1つも無い他人なんて存在しないから。
でもその逆も無い。短所しかない人間も居ない。
摩擦の痛みごと人を愛したいし、愛されたい。そんなふうに感じる良作でした。
これはトム・ハンクス版も是非観たい!
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