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アメリカンレガシーのqqfowlのレビュー・感想・評価

アメリカンレガシー(1992年製作の映画)
3.0
19世紀後半、西部開拓時代。メディシン・ショー一座の座長を、知人が訪ねてくる。ネイティブアメリカンとの間にできた混血娘を、息子(リバー・フェニックス)の嫁にするために売ってほしいと言うが…

西部劇×ホラー。ストーリーが微妙であまり評判の良くない映画だけど、ディテールは結構面白かった。メディシン・ショーというのは、旅芸人+薬の行商みたいな、19世紀アメリカの薬の販売形態。そういうのが本当にあって、映画に出てくるKickapoo Indian Medicine Companyは、Wikipediaによれば最大手の1つだったらしい。


~ネタバレ~


(あらすじ)メディシン・ショーの座長は、かつて、口のきけないネイティブアメリカン女性が1人でいるところを狙いレイプして、無理やり妻にして、娘を2人生ませていた。姉娘を、少し前に、リバー・フェニックス演じるタルボット青年の妻として売ったのだが、出産で死んだので、今度は妹娘を売ってほしいと、タルボットの父親が再び座長を訪ねてきた。

レイプした上、生ませた子を売るという、めちゃくちゃな話。座長もタルボット一家もアイルランド系で、同国人同士で人身売買してたということらしい。

(あらすじ続き)タルボット青年は妻が死んだのを悲しんで、亡骸から離れない。このままだと息子が死んでしまうと父は心配して、何としても妹娘を売ってほしいと座長に掛け合い、しまいには誘拐同然に連れ去ってしまう。一方その頃タルボットの亡き妻は幽霊になって、夫に語りかけていた。勝手に売られて、生みたくもない子を妊娠させられて、今やっと死んで自由になれたはずなのにあんたのせいでどこにも行けないじゃないの。さっさと火葬なり何なりしなさいよ! 

ここで、タルボット君が、「そうだったのか。君の気持ちも知らず、すまなかった。つらいけど言うとおりにするよ」とでも言ってれば、よかったと思うんだけど、ただ妻の亡骸にしがみつくだけ。妹娘がなだめてもどうにもならず、最終的には父親が隙を見て亡骸をたき火に放り込んで終わり。この絶望的なディスコミュニケーションが残念だった。

というか、タルボットが死んだ妻に執着してるのは、それこそ呪いだったというほうが、収まりがいい気がするんだけど…。幽霊の主張とは矛盾するけど、実はそういうことなのかな?

座長は、連れ去られた妹娘を追いかけて旅をしてるうちにだんだん気が触れて、最後はネイティブアメリカンの戦士たちに捕らえられ因果応報になる。だからやっぱり全体としては、強姦とか人身売買は人間としてやっちゃいけないことだよねっていう映画だったのかなと思う。
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