くもすけ

キング・オブ・マーヴィン・ガーデン -儚き夢の果て-のくもすけのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

■it's not a game of monopoly
マーヴェンガーデンはニュージャージー州アトランティックシティの保養地。ボードウォークの工事シーンも出てくるが、実際再開発中だったようだ。1920年代から1930年代に建てられた多くの建物が解体され、カジノ解禁ブームに乗ってカジノホテルが建設される。その後はトランプ参入、住宅バブル崩壊、ハリケーン、コロナで衰退の一途。
映画タイトルはこの町をモデルにしたモノポリーからとっていて、そのせいで実際の町の名 Marven Gardensと綴りが違う。ミスコンのタップシーンでは、建設当時世界最大のコンヴェンションホールとパイプオルガンが見られる。

映画はモノポリーの見立てだが、ゲームが始まる前にプレイヤーが揃わない。歓迎楽団の指揮者は勾留中で、資金源を訪ねても門前払い、競売には客もなく、ミスコンの客は一人だけ。引きこもりの弟は終始鬱気味で気がめいるうわ言をテープに吹き込んで、躁鬱の旅芸人の引き出しからおもちゃを漁る。

冒頭ラジオの収録で話す内容がどこまで真実なのかわからんが、デイヴィッドは祖父の家から抜け出せない。兄亡き後祖父が暗がりで見入るビデオをデイヴィッドははからずも妨げて寝床につき、祖父の空咳だけが画面に響く。飛び出して来たのは魚の骨じゃなく鉛玉、倒れたのは祖父でなく兄だった

脚本はJacob Brackman、作詞家。このあと、まぼろしの市街戦のミュージカル(78) King of Heartsの歌詞を書いてる。
原案タイトルはThe Philosopher Kingだそうな。兄が弟を呼ぶあだ名で、ホテルの名前に考えていたと言って口にする。二人は対象的な性格で兄はやる人弟は見る人。そこに親子の旅芸人が加わってややこしくなる。
抑鬱気味の弟の手元に何度も戻ってくる拳銃は、もともとサリーが護身用に兄に買わせたものだった。足止めをくらった四人の誰が誰を撃つのか、ノミネートされてないのはジェシカだけ。

全然関係ないが、日本人相手にデイヴィッドが話してたイルカの話は、1960年代ジョン・C・リリーが関わったNASAのプロジェクトで「イルカの日」の元ネタ。