Maoryu002

仮面の米国のMaoryu002のレビュー・感想・評価

仮面の米国(1932年製作の映画)
3.9
復員兵のジェームズ・アレン(ポール・ムニ)はジョージア州でレジ強盗に加担して収監され、10年の過酷な労働を課される。耐えかねたアレンは脱獄し名前を変え建築業で成功するが、過去を知る妻の裏切りで再び逮捕される。そこで劣悪な監獄の実態を暴露したアレンに対して、ジョージア州は彼を檻の中に繋ぎ止めようとするのだった。

マーヴィン・ルロイ監督が「犯罪王リコ」に続いて作った、めちゃくちゃハードな脱獄劇にして社会派ドラマ。
「穴」「暴力脱獄」「告発」「ショーシャンクの空に」といった監獄モノの元ネタが詰め込まれてる。

「暗黒街の顔役」のポール・ムニが、打って変わって戦地から戻った平凡な男を演じているんだけど、彼が非人道的な扱いを受ける中で、怒りに満たされて変貌する様子がリアルだ。

後半、役人たちがアレンの解放可否を決める過程の描き方が粗すぎるのは非常にもったいないけど、これが実話ベースで、当時のアメリカを騒然とさせて法律まで変えたというから、映画の力は凄い。

ラストがまたとんでもなく、良くも悪くも “終わらない” という最悪の悲劇なのだ。
あのエンディングに、法律や制度への批判が強烈に感じられた。
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