Keigo

仮面の米国のKeigoのネタバレレビュー・内容・結末

仮面の米国(1932年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

面白い!!
よく出来てるな〜!という印象がまず先に来る。THE・お手本という感じ。
これが刑務所モノ、脱獄モノの走りであるというのも納得。後世のあらゆる作品に多大な影響を与えていることが窺い知れる。

過酷な刑務所の中での生活は嫌になるほど克明に描かれていながら、時の経過や場所の移動、一度目の脱獄後の成功までの過程などは粋な演出でササッと描かれている。そのペース配分が絶妙で、ただの脱獄映画の枠を超えた様々な要素がおよそ92分の作品とは思えない内容量で描かれている。

州ごとに司法の制度や認識が異なっていて、国と同等かもしくはそれ以上に州の意識が強い感覚は日本に暮らす自分にはいまいち馴染みがないものの、より普遍的な法の捉え方、扱い方、罪と罰の関係性など社会的なメッセージも内包した作品だと思う。

ジェームズがあの時レジの金に手を伸ばしてしまった以上完全な冤罪とは言えず、その上でさらには脱獄した身であるならば、どれだけ社会的に意義のある仕事をする善良な市民になっていたとしても、刑務所に戻る必要がないとは思わない。ただ、課せられた罰が犯した罪に対して適切な罰であり、かつ適切に施されているかという点は別にして。
Keigo

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