真鍋新一

太平洋のかつぎ屋の真鍋新一のレビュー・感想・評価

太平洋のかつぎ屋(1961年製作の映画)
2.3
今回のアキラはパイロット。日本の特産品であるニコンのカメラをたっぷり積んで、ハワイへ輸送するお仕事。上司のおいちゃん(下條正巳)も鼻高々。しかし序盤からアメリカ人の不良パイロットのミスの巻き添えを食らってあわや事故死の大惨事。このあたりの特撮はかなり力が入っている。

すごいのはここまでで、浅丘ルリ子も宍戸錠も白木マリもいるのに、このゴールデンカルテットをまったく活かせていない残念な出来。おそらく全員のスケジュールがうまく調整できなかったのかもしれないが、ルリ子もマリも目立つ場面がほとんどない。途中からほとんどいないのと同じになる。特にマリのキャラクターはしんどさと健気さとが同居したいい役だったので惜しい。事故で顔に傷を負ったせいですっかり病んでしまったジョーのキャラクターはいつもの余裕綽々のジョーとは違う新境地を感じさせるものの、それだけでは作品は救えない。

すべての元凶になったアメリカ人の不良パイロットが、おそらくアメリカ人であるがゆえに一切お咎めなしで大団円を迎えてしまうところも相当に残念だった。『トップガン』のトム・クルーズみたいなデカいサングラスをしたアキラがカッコよかったので、アイドル映画としての水準はギリギリ満たしている。
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