horahuki

呪われたレイプ魔のhorahukiのレビュー・感想・評価

呪われたレイプ魔(1973年製作の映画)
3.8
期間限定スーパーパワー!

非道な海賊たちにレイプされた美少女2人。殺されそうになるけど何とか逃げ延び、悪魔の力を借りて復讐しようとするエロティックリベンジホラー。

初ジャンローランです。
フレンチホラーと言えば…で必ず名前が挙がる有名監督ですが、レンタルはほぼ置いてなくて、どれから見れば良いんかわからなかったから安く手に入ったコレから。フレンチホラー史的にめちゃ重要な位置づけの監督って認識なのですが、本人的にはホラーを撮ってるつもりは全くないという、世間からの評価とのズレが面白い監督さんですね。

深い青をバックに赤く燃える船の残骸と黒の燃え殻の映像をバックに入るオープニングのセンスが凄く好き。顔のドアップを切り取りながらナレーションでキャラ説明を長々と一人ずつ4人分映すという、アタック25の出演者紹介みたいな映像には笑ったし、説明が長いもんだからキャラの手持無沙汰感出てくるのもアタック25っぽさがあって狂おしいほど好き!しかも陰険とか邪悪とか残虐とか全員大体同じ紹介してる上に、内部での派閥争いを匂わせる紹介しときながら、特に何の意味もないというね(笑)

説明的なところや物語の配分が変な感じで何かよくわからないところがありましたが、ロケーションを生かした映像の美しさは凄かったです。黒とダークな青を背景に、画面中央に小さく映る白とか、廃船がいくつも打ち上げられた廃墟のような海岸を白い少女2人が歩く俯瞰映像とか、荘厳な洞窟の内部を少し下から見上げるような映像の中をこちらに向かって歩いてくる素っ裸な少女2人の長回しとか。

ご機嫌なBGMの中、突然現れる血を流す死体を何度も矢継ぎ早に挿入するのと同時に、それまで流れていたBGMや喧噪に変化を加え、罪悪感と楽しさから遠ざかる感情を表現する演出や、窓枠をスクリーンにすることで、一歩引いた彼女たちの立場を意識づけるところ等々、演出面でも面白いところが多かったように思います。

とにかく眺めてるだけでテンション上がってくるし、ポルノ映画レベルでエロシーンが多いんだけど、女性の裸込みで画面をガチっとカッコ良くかつ美しくキメてくるセンスはもうアートと言っても良いんじゃないかってくらいで、独特の映像美学が評価されているっていうのも納得でした。

悪魔と一発やって一晩限定のスーパーパワーを手に入れた少女2人によるリベンジ展開かと思わせつつも、「寛容の心」が大事だっていう、登場人物の中で一番良心的なんじゃないかって思えてくる悪魔さんの発言どおりな意外な方向へと進んでいく物語を見ると、ホラーを撮ってるつもりはないっていう監督の考えもわかる気がしてきます。

本作はジャンローランの作品の中でも評価高くないイメージだけどハマったので、代表作含めて他にもいろいろと見ていきたいところ。どれが代表作なのか良くわからないけどね(笑)とりあえずレンタルある『催淫吸血鬼』かな。
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