ムギ山

下宿人のムギ山のレビュー・感想・評価

下宿人(1926年製作の映画)
3.5
YouTubeでヒッチコック『下宿人』”The Lodger” 見る。無声映画は俳優の演技のスタイルが今とだいぶ違うのが見る上での一番の障害のような気がする(あと主役級の男優や女優がみんな同じ顔に見える)けど、それを乗り越えると普通におもしろい。車のヘッドライトの影が部屋を横切るところとか、階下の人物が上を見上げるとあたかも天井が透明になって2階の下宿人が歩き回る様子が下から見えるみたいになる場面とかがかっこいい。『ヒッチコック/トリュフォー』によると、ラストシーンで主人公が柵を乗り越えて逃げようとするが手錠がひっかかってしまう場面は磔になったキリストを想起させるとのこと。なるほどなあ。
また、

J・リー・トンプソンというイギリス人の監督がいますが、その彼の<ヒッチコック気取り>の映画の一本で主人公が立ち上がって台所へいき、冷蔵庫をあけると、つぎは、突然キャメラが冷蔵庫のなかに入っていて、主人公を冷蔵庫のなかからとらえてみせるという、いかにも度肝を抜くといった感じの不自然なショットがあったりする。あなた自身はけっしてやらないことではないでしょうか。

なんてトリュフォーが言ってたりするのだけど、そういうアングルって今じゃわりと普通に使われてるよねえ。J・リー・トンプソンさんちょっと可哀想。
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