イチロヲ

下宿人のイチロヲのレビュー・感想・評価

下宿人(1926年製作の映画)
4.0
連続婦女殺人事件の嫌疑を掛けられている男が、下宿屋の若い娘に惑わされてしまう。マリー・ベロック=ローンズの小説を映像化している、サスペンス映画。

本作は、ヒッチコックの監督デビュー3作目にして、初のサスペンス映画となる。また、前2作品はドイツ製作のため、イギリス産の本作を事実上のデビュー作とすることができる。

ドラマ本編は「下宿している男が、本当に真犯人なのだろうか?」というハラハラ感を打ち出した内容のサスペンス劇場。1888年の「切り裂きジャック事件」が元ネタであり、実際の犯人は娼婦を狙っていたが、本作では金髪女性を狙う。

サイレント期のため、視覚から心理を汲み取らせる手法が採用されている。パン生地をハート型に切り取って恋心を表現したり、ガス燈の明暗から不安感を表現したり、階下から仰ぐ視点で下宿人の行動を見せたり、創意工夫を凝らした映像美に魅せられる。
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