shibamike

下宿人のshibamikeのネタバレレビュー・内容・結末

下宿人(1926年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

「サイレント映画でサスペンスぅ?怖くないっしょ(笑)はぁちゅうと岸勇希のブログ読も。」とか思っていたが、これが中々どうして。気付いたら真剣に物語の行方を追っていた自分である。#MeToo(?)

そもそもヒッチコックがサイレント映画の頃から映画作ってたということを知りませんでした。勉強になりました。

「TO-NIGHT GOLDEN CURLS」とネオンサイン?が点滅したり、印象的な三角形のアートワークが出たりするが全部一々カッコいい!

下宿人に関して、その登場シーンではスカーフで顔を隠すという殺人鬼の目撃情報通りだったり、下宿部屋にある金髪の肖像画を外すよう指示したり、殺人現場を記した地図を眺めたりと、観客の思考をこれでもかと引っ張りに引っ張る。いわゆるミスリードというやつか。そして、最後の最後に全部違いましたー、と清々しいほどのどんでん返し。いやぁ、天晴れでござった。
妹殺しの犯人が憎い故の火曜夜の徘徊、殺人現場の地図作成等々だったと。

真犯人の描写があったらもっと面白かった気がするけど、色々事情があったのでしょう。

下宿人が中盤、火曜夜に徘徊するためソロリソロリと下宿先を出るのだが、手すりに手を当てて階段を降りるシーンが超絶カッコ良かった。手しか見えてないけど、降りているのがわかるという。ヒッチコックすげえや。

恋敵の刑事って大体性格悪く描かれそうだけど、本作の刑事は案外いい奴そうだった。捜査の進め方は安直でよろしくなかったけど。

下宿人が誤解のために終盤、民衆からリンチを受けるというのは面白いなぁと思った。話題の憎き連続殺人犯が手錠で逃亡中だったら、民衆は勝ち戦と思って増長するというのはあり得そうだ。で、人違いなんだから、民衆って怖い。

ガラスの上を歩いるのを下から撮影した有名なシーンも観れて満足。確かに印象的であった。
制限が多い中、製作陣のアイデア、工夫に本当に感心する。
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