不在

月曜日に乾杯!の不在のレビュー・感想・評価

月曜日に乾杯!(2002年製作の映画)
3.4
「人生とは近くから見れば悲劇だが、遠くから見れば喜劇である」とはチャップリンの有名な言葉だが、まさにこの映画の抱える問題はそのカメラの距離である。
主人公を取り巻く環境を、クローズでもロングでもない、ミディアムな距離から常に見つめ続けているせいで、この作品の持つ喜劇性が薄れてしまっている。
そんな中でも、逃避行の末に家族の元に戻ってきた主人公が再び退屈な日常に逆戻りした事を示唆するラストの工場のロングショットは、ゴジラのような効果音も相まって、喜劇性があって面白い。
しかしこのシーンも、父親や働く男というのは何処へ行っても大差ないと言うことをもっと強く打ち出し、日常は地獄であり、タイトルの『月曜日に乾杯』というのが強烈な皮肉になっている、という構成ならもっと喜劇的だ。

日本人からすると、ふらっとベネチアに行ける環境が羨ましいよ。
不在

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