すずす

天はすべて許し給う/天が許し給うすべてのすずすのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

ダグラス・サーク監督のメロドラマの傑作として、アメリカ国立映画登録簿記載の傑作。
個人的には、時間がコンパクト過ぎて、主人公の気持ちの説明が不足している様に思え、サークの映画としてはTOPでは無い気がします。

階級意識を基にした偏見を乗り越えられるかが最大のテーマで、そこにジェンダー不平等、家族、特に母の役割といった20世紀の人間関係が絡まって物語は進みます。

以下は物語。

高級住宅街に暮らすケリーは夫に先立たれ息子と娘と暮らしている。2人の子供は既に大学生で、家から離れがち。若い庭師のロンが丁寧に庭を樹木を剪定し、お茶をする内に仲良くなる。
ソローの「森の生活」を愛読し、鄙びた山奥で暮らすロンは庭師より、苗木栽培に力を入れている。ロンはオンボロの水車小屋を改築し、ウェッジウッドの陶器のある洗練された住まいにリフォームする。
2人が夫の生前から付き合っていた、とか、町の人々は良からぬ噂をする。
息子と娘は母の再婚相手は初老のハーヴェイと勘違いしていて、ロンに会って驚き呆れる。町の名士たちが集まるパーティで揉め事が起き、町の人はブルーカラーのロンとの結婚に懐疑的。後日、娘が虐められる事態となり、ケリーはロンに別れを告げる。
しかし、ケリーは頭痛に悩まされ、医者に通うと、医者は身体の問題ではなく、心の問題だと助言。ロンの家を訪ねるが不在、ロンは崖から落ちて意識が戻らなくなるが---------

いかにもサーク流のベタベタ音楽を背景に、キス場面が多く、雰囲気は満点。

但し、冒頭からロンはケリーに惚れている前提だったり、物語の進みに余韻が薄く感じさせられてしまう欠点があります。後、20分くらい使えると良かったのに!と思わざるを得ませんでした。
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