せいか

ダージリン急行のせいかのレビュー・感想・評価

ダージリン急行(2007年製作の映画)
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5.7、円盤で視聴。
この映画監督の関係する作品が私にはおよそ気が合わないのになぜ観ることにしたのかは忘れた。本作品もやはり楽しめなかった。

他の関連作品もそうだが、ビジュアルはきれいなのだけど中身は薄っぺらで印象に残らないものだった。
富裕ではあるらしい不仲な三人兄弟が、インドのキリスト教教会で奉仕活動をする体で逐電している母(夫の葬式にも来なかったし、兄弟たちにもドライで、情に疎く自分が子供たちと向き合うことを放棄しているのにその彼らに平気で「ここの人たちは私の助けを求めているのだ」と言える上にこっそり彼らの前から再び逃げ出して姿をくらませるし、自分は何も悪くないのだと言えもするタイプ)を訪ねていくというもの。そしてそのドタバタな旅を通して自分たちが抱えていた多くの荷物を投げ捨てて解放されたような感じになる作品である。

彼らの問題の深刻さも大して伝わらないままひたすら彼らが解放へ至る話をしているので妙な感じである。
あと、インドを心が解放される場所みたいな使い古された一方的なイメージでひたすら話が展開した上にエンディング曲は『オー・シャンゼリゼ』で、なんというかひたすらくそどうでもいい欧米人たちがインドでツーリズムをして勝手にコメディタッチに癒されようとする感じがしてなんだか気味が悪かった。

途中、とある村の葬式(村の子供の三人兄弟のうちの一人が死んだため)に参加して、これが露骨に主人公たちの問題と重なるのだけれど、言ってしまえばその子も善意からとはいえ彼らが殺したようなもので、そこをなあなあにしようとしたままやりすごしていたり、それで多分こういう形で解放をテーマに描いていてわけがわからないというかなんというか。

なかなか暴力的な視座からなるオリエンタリズムを見せてくれている気がした。そういう残酷さ含めてもしかして意図的に表現されてたのかしら?
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