もとまち

悪魔の微笑みのもとまちのレビュー・感想・評価

悪魔の微笑み(1972年製作の映画)
3.6
哀愁漂う70年代ゴシックホラーの良作。メランコリックな音楽で幕を開けるオープニングからして、既に物悲しいムードが画面に充満している。枯れ木に覆われた仄暗い森、閑散とした集落、何かに怯える住人たち、夜になると扉を叩く誰か、魔女の高らかな嗤い声が木霊する......。テンポは鈍重だが、古き良き怪談話のように気品高い語り口と、寒々とした薄気味悪い空気感がたいへん心地よい。『サンゲリア』や『悪魔の墓場』以前のイタリアンホラーにしてはゴア表現もかなり健闘していて、吸血鬼の顔面が溶けていく様をじっくりと映し出したり、車のドアが締められた勢いで指がポーンと千切れ飛んだり(指の切断面を車窓に擦り付けてくるのが怖い!)と、結構ユニークで面白い。超絶バッドエンドなラストシーンも、この救いなき陰鬱な物語の締めくくりとしては完璧。
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