せーや

不思議な世界・未来戦争の恐怖のせーやのレビュー・感想・評価

3.5
今まで見た映画の中でもトップクラスにシュールな映画。

最初から最後までカオスすぎるので
ストーリーも何もあったもんじゃないんですが
一応、舞台は第三次世界大戦から2,3年後のイギリス。

たった2分28秒で終わったという第三次大戦だが
核戦争だったために壊滅してしまったイギリス。
生存者は20人。

さらに核による後遺症で
人は動き続けないと「変異」してしまう。
家具、家、動物なんかに変異してしまうのだ。

見ていて理解できる設定はこのくらい。
核戦争の生存者は奇妙な世界で平然と暮らしている。

「変異」してしまった人を「修理」する医者(大工)
たった一人で国中の電力を自転車でまかなう男
気球に乗ってパトロールする警官
延々と走る電車で暮らす家族

といった人たちの暮らしを描くだけ。
本当に、ただそれだけ。

なのに何故か面白い。

核戦争後の世界を痛烈に皮肉った作品であるのは一目瞭然。
さらにその設定の面白さや、
人々のかわす会話が笑いを誘う。

文明が崩壊したのにもかかわらず
いつまでも「英国人」であることに執着し
そして文明人であることに固執する人々。
人はこうも醜いのか。

なかなか異様な世界だし気分も暗くなりがちな設定ですが
常に明るく生きる人々(というよりバカ)のおかげで
映画全体はポップに仕上がっています。
全く危機感がない。

とはいえ、ところどころ背筋がゾクっとするような演出も。
こんな世界で当たり前に生きる人々が怖くなります。

これを面白いと感じるか、つまらないと感じるか。

退廃した未来系が好きな人でも、さすがにしんどいかも?
せーや

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