たーぼーん

下女のたーぼーんのレビュー・感想・評価

下女(1960年製作の映画)
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登場人物は通常、自身が破滅しない様に気をつけながら何か思いを遂げようとするのだが、この作品の人々は目に見えぬ抑圧を受け不安定で暴走する。
家庭のある2枚目親父(某矢田部氏風)も、夫と協力してより良い家庭を築こうとしてきた妻も、ピアノの先生が好きで何かのきっかけを掴みたい女子も、そして若い家政婦も、ひたすら必死な余りに自分が破滅しそうになろうが見境なくなる。
縦に横に斜めに舞台は展開し、時折降る雨は呼吸音も悪意の痕跡も消し去ってくれそうな錯覚につい陥るが、気がつけば地獄絵図だった。