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GANTZ:Oのツのレビュー・感想・評価

GANTZ:O(2016年製作の映画)
2.0


【原作を読破してから軽い気持ちで観ましょう】


原作のファンなのでレビューが厳しめ。
この映像化のCG技術は素晴らしい。
でも原作の素晴らしさが活かされておらず、中途半端な仕上がりになった。


例えるなら、100%のオレンジジュースを頼んだのに、砂糖も入っていない薄いオレンジ色の水を出されたような気持ちになった。
とにかくGANTZの世界が薄っぺらく描かれている。



まず何故大いに原作では盛り上がりを見せた大阪編を今回の作品に選んだのか。
原作の後半にあたる物語で、既に色んなキャラクターの繋がりもあるのに、それを描かず、いきなり知識ゼロの新規ファンをとても惹きつけられるとは思えない。
それなら、玄野がGANTZとの最初の出会い、観る人も徐々に世界観を理解していける、一番最初のネギ星人編を今回のフルCG化の題材に選ぶべきだったと個人的に感じた。


原作だと元々多くいるメインキャラクターの他、大阪編ではさらに色んなキャラクターが登場しているが、この作品ではそもそもメインキャラクターの半分ぐらいが最初からいない。
風とタケシ、桜井がいなかった時点で萎えた。
だって、GANTZはメインのキャラクターの一人一人の物語がしっかりあって、色んな葛藤を抱えながら戦ってそれぞれ生き残ろうとしている作品。

この映像化では加藤勝にしかフォーカスが当てられておらず、設定も一部原作と違うので、レイカ、鈴木さん、杏、みんな脇役程度にしか描かれていない。
原作を読まず、いきなりこの作品だけだと、キャラクターのバックグラウンドの情報不足が故、登場人物誰一人に共感出来ないのではないかと。


また大阪編では大量の妖怪、大量の逃げ惑う一般市民が細かく描かれていて、とにかく街中がごちゃごちゃとパニック状態になっているのに、キャラクターだけでなく、妖怪や人間まで削られていてますますガッカリした。
原作と真反対で、大阪がゴーストタウンみたいな状態で描かれている。


他にあげるとキリがない。
とにかく、あれこれを削って削って、変えて、濃すぎて読んでいて感動のあまり言葉も失う原作と違って、何一つ感動がない、とても浅はかな作品になったと思う。


大いにパチンコ業界を賑わせている、「ぱちんこGANTZ」の演出映像がてらに作られただけじゃないのか?って疑問さえ持った。


1.0付けたいところだが、原作のバトルシーンが分かり難く、さほど上手に描かれていないので、あーこうやって戦ってたんだーっていう分かりやすさと、武器とメカは格好良く作られているのでここは評価に値する。


GANTZの本当の素晴らしさに触れるならば、原作を読みましょう!




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