半兵衛

愛の立候補宣言の半兵衛のレビュー・感想・評価

愛の立候補宣言(1948年製作の映画)
3.2
同じキャプラ監督の似た題材を扱った『スミス都へ行く』に比べると面白さは薄くなっているが、それでもある人物の思惑によって大統領候補に仕立て上げられた男が政治の虚構に踊らされ自分を見失うも最後には正義に目覚める…という物語がドラマチックに描かれているのでそれなりに楽しめる。それに加えて主役の大統領候補を演じるスペンサー・トレイシーの飄々とした演技や、妻を演じるキャサリン・ヘプバーンの精神的な強さを秘めた演技が作品に奥行きをもたらす。

でも一番面白かったのは中盤の飛行機内でのやり取り、対立する候補の乗っている飛行機に向かって翼をぶつけたり(本当に飛んでいる飛行機同士が翼をぶつけるので見ていてヒヤヒヤする)、興奮したトレイシーが暴走の果てにスカイダイビングを敢行したりとスクリューボールコメディかと思えるくらい無茶苦茶でアナーキーな展開に思わず笑ってしまった。テンションの上がる夫に対して冷静に対応するヘプバーンも◎。…でも作品のテンションがこれ以降急速に低くなり説教臭くなるのが残念。
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