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高慢と偏見のyuuuumiのレビュー・感想・評価

高慢と偏見(1940年製作の映画)
4.8
古き良き時代のイギリスの物語。
ジェーン・オースティンの長編小説が原作。

この時代の女性は従順で、より身分が高く、結婚して安定した生活を送ることが幸せであると考えられていました。

舞踏会でダーシーとの出会いが描かれていますが、この舞踏会での様子がほんとに優雅で上品で、きらびやかに着飾ったドレスが素敵です。
こんなに華やかに着飾れる時代が少し羨ましくも感じました。
クラシック音楽も素敵で、こんな音楽や衣装が日常的に味わえるなんて贅沢な時代だなと感じました。
しかしながら、きらびやかな生活とは裏腹に、男性から見初められなければ恋愛にも発展できない堅苦しい時代でもあると感じました。

読書家であるエリザベスには知性と教養があり、舞踏会で出会ったダーシーの発言に不愉快さと高慢さを感じとり最悪な第一印象になった二人。数々のダーシーからのアプローチを受けるも反発ばかりするエリザベス。
しかし、尊敬され、心を開いてほしいと感じているダーシーの寛大さを知り、ダーシーも美しく活発で教養のあるエリザベスに興味を抱いていく様子が描かれていき、お互いを意識していく気配が感じとれる様子こそ古き良き時代の素敵な恋愛風景。
徐々にダーシーに対する偏見を捨て、気になる存在になりつつあるエリザベスの心の移り変わりがとても丁寧に描かれています。

ダーシーとの叔母との食事会の席でエリザベスの弾いたピアノ演奏が素敵で美しい余韻を感じました。この時代の女性は芸術にも明るく、絵を描いたりピアノも弾いたりする事が当たり前であることが普通である時代。そういったことが女性の教養を測る物差しであるのだなと感じました。
『エリザベスのいない人生はむなしく感じる』と表現するダーシーの言葉も素敵な響き。

余談ではありますが、この作品に登場するのは人物だけではなく、人物を彩る溜め息のでるような素敵な家具や食器類や絵画。このような素敵な物に囲まれた生活を送れば自然と背筋も伸び、動作や仕草も洗練されていくのだろうと感じた作品でもあります。

この古典作品はとても話も分かりやすく描かれていて、とても感情移入でき、制約の多い時代ではありますが、すべてが美しく、素晴らしい作品であると感じました。
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