開明獣

不安は魂を食いつくす/不安と魂の開明獣のレビュー・感想・評価

5.0
アキ・カウリマスキが影響を受けたことが得心出来ると同時に、多くの人がファスビンダーの最高傑作に挙げるのが頷ける作品。

夫をなくし、清掃員として生活している貧しくとも誠実な女性エミが、自分の子供くらい歳下の、出稼ぎのムスリムの男アリと出会う。アリもとても誠実な人間だが、親子ほどの歳の差、肌の色、を理由に2人への周りの目はとてつもなく冷たい。その2人の困難な愛の行方を追った物語。

エイジ・ハラスメントって、もっとも話題になってなくて、もっとも多くやられてる気がするんだよねー😔前も書いたけど、若い時にかなり年上の女性と結婚した開明獣の友人は、随分とひどいこと言われてたし、開明獣の先輩は、二回り以上歳下の女性と結婚して、奥様が一時メンタルおかしくなるほど、心ない発言をされたそうです。

一番こたえたのは、親友から「わあ、勇気あるねー。応援するよ!私は生理的に無理だけど」と言われたことだそうです。なんとまあ、無神経な言葉の暴力なことか💢旦那さんである先輩は、「君が親友だと思っていた人は残念ながら、"自分は人の本質は見てません"って自ら暴露している愚か者だから、気にするな」と仰ったそうです。全く仰る通りだなあ、と😔

といいつつ、うちのムスメちゃん(24歳)が、開明獣と同い年(59歳)の外国人の男性を連れてきて、「アタシ、この人と結婚するからー❤️」って言われたら、正直、ショックだとは思います💦エラソーなこと言っておいて、なんだオマエはー😡って言われても仕方ないね、しょんみり🥺

でも、最終的には反対しないし、祝福するよ。そして、その相手のことも理解するよう努めるだろうし😌万一、「エイガハ、キライダカラ、ミマセーン」て言われたら、流石にアタマに来て、飲み物に下剤入れちゃる!!ってなるかもしれんけど💦開明獣、身体はデカいが、人間は小さくて、再びしょんみり🥺

年齢、性別、人種、色んな違いは消えることなく存在していて、問題は、それを普通に受容出来るような社会になるかどうかだよね。およそ50年も前に、その問題を取り上げて、見事な社会派のヒューマン・ドラマに仕上げたファスビンダーは、やはり天才なのだと、改めて認識させられました😌

時代を先取りした普遍性を描いた本作は、学校の授業で取り上げられてもおかしくないと思います。
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