クロスケ

不安は魂を食いつくす/不安と魂のクロスケのレビュー・感想・評価

3.7
冒頭のバーのシーン。
店内の広さ、主人公が座る席の位置、他の客たちの視線の動き、女主人がオーダーを取りに来るタイミング、登場人物たちが店内を移動するときの距離とスピード。
どれも的確で、朴訥な黒人青年がちょっとしたノリで、店に迷い込んだ年嵩のドイツ人女性を踊りに誘うという、やや歪な状況をごく自然に演出してみせる手腕には目を見張りました。

作中の殆どが、狭い室内で展開されるのですが、その四方を囲む壁や床が、物語を視覚的な緊張感で牽引します。中でも階段という舞台装置がこの映画に特殊な魅力を与えていることも見逃せません。
思いきりの良いカメラワークと編集、落ち着いた色調も見事です。
クロスケ

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