Kyoka

不安は魂を食いつくす/不安と魂のKyokaのレビュー・感想・評価

3.2
映像はとにかく美しい。一コマ一コマ、完成された絵画を見ているみたい。

なんだが、あまりにも人種への偏見が酷すぎて、この時代のドイツってこんなに酷かったの?
しかもヒトラーがナチュラルに登場しすぎていて、これはアウトでは。
そこのリアルを描きたかったのかもしれないけれど、
あーこりゃこの国からナチス生まれるわ、と思ってしまった。右向け右で排他的。

しかも男も男で数ヶ月で浮気するのもしょうもな、と思ってしまったし(わかるんだが、やっぱりか、という気持ちが勝ってしまった)
全体的に心情のうつりかわりの機微みたいなものが描ききれていない感じがして
ストーリーが少し陳腐、現実をそのまま現実として描いただけ。
胃潰瘍で(不安で食いつくされて)倒れたあとのストーリーがもっと見たかった。
浮気を許した時のエミのセリフ、
結婚しても、あなたを縛らないしお互い自由であるべき。でも、二人でいると強くなれる。
...これが言える人は強いけど、世界は悲しいと思っている人のセリフ。だから沁みる。

考えるから悲しいんじゃなくて
悲しいから考える、
っていう冒頭のセリフはとても好き。
Kyoka

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