ILLminoruvsky

不安は魂を食いつくす/不安と魂のILLminoruvskyのレビュー・感想・評価

4.5
原題『Angst essen Seele auf』 (1974)

監督・脚本・音楽・製作 : ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
撮影 : ユルゲン・ユルゲス
編集 : テア・アイメス
出演 : ブリギッテ・ミラ、エル・ヘディ・ベン・サレム、他

ダグラス・サーク『天はすべて許し給う』を下敷きに、初老の清掃員と移民労働者の年齢差や境遇の違いを超えた愛と、彼らに対する世間の偏見や差別を描いたヒューマンドラマ映画。

「愛と搾取の二重構造」映画。

いやぁ、めちゃくちゃ良かったです。
大名作。

移民にまつわる差別や労働問題、移民との愛情や結婚、年の差婚などをテーマにした作品で、周囲の差別には屈しない姿勢で一緒になったはずの、人種も生活習慣も年齢すらも違う男女が、彼らを取り巻く差別的な視線に神経をすり減らし、二人の関係性までをもボロボロにしていく様は観ていて辛かったですが、ヒトラーも愛した高級レストランでのシーンや黄色のテーブルが並ぶオープンカフェのシーン、後半の冒頭に雨宿りのために立ち寄った酒場に仲直りの為に再び立ち寄り冒頭のダンスシーンを「反復」するシーンは素晴らしかったです。

本作の撮影、カメラワークと編集のリズムはアキ・カウリスマキに多大な影響を与えたであろう「映画」の語り口で、カウリスマキファンは必見の一作。
個人的にはカウリスマキは小津安二郎の映画よりも本作のスタイルにかなり影響を受けていると思った。
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