矢野竜子

ランドスケープ・スーサイドの矢野竜子のレビュー・感想・評価

4.2
痛みと場所。
それを繋ぐ殺人者という存在。
それゆえに汚れてしまった街街。
冒頭の観客に対する
嫌がらせのようなテニスのサーブの
描写だが、サーブの行為のみが捉えられる。
行為、原因、過程のみが執拗に描かれ、
結果(ボールの行方、場所)と同時には描かれない。
それは分断されている。
本編も同様に殺人の原因を
擬似インタビューでひたすら描く。
冒頭のテニスのサーブかのように。
場所(環境)は痛みと自動接続されるが、
そこに果たして因果はあるのだろうか?
被害者を過剰にドラマティックに
音楽を通して一瞬だけ描写するとか
露悪的すぎて1番恐ろしいのは
この監督なんじゃないかと思えてくる。