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仕組まれた罠のkojikojiのレビュー・感想・評価

仕組まれた罠(1954年製作の映画)
3.3
数えてみると、本作で7本目のフリッツ・ラング監督作品鑑賞になる。
「フリッツ・ラングにハズレなし」と、どなたか言われていたが、確かにそうだと思っていた。
ところが、ハズレにあたってしまった。
原作はゾラの「獣人」にあたる原作なので、フランス映画「獣人」のリメイクになる。
(※フランス映画「獣人」をみると設定が全然違って、別物になっているのがわかった。リメイクとは言えないかもしれない)

朝鮮戦争から戻ってきたジェフ(グレン・フォード)は機関車の運転士に復職する。そして以前のように同僚アレックの家に間借りした。
操車場長助手に出世していたカール(ブロデリック・クロフォード)は若く美しいビッキー(グロリア・グレアム)と結婚していた。 
ある日、カールは操車場長と喧嘩をして仕事をクビになる。そこで妻ビッキーに復職するために鉄道会社の大顧客であるオーエンズ氏に口利きを頼む。
ビッキーの母はかつてオーエンズの屋敷で女中をやっていたのだ。
ビッキーの口利きは成功し、カールは復職するが、カールは妻とオーエンズの仲を疑い、ついに殺してしまう。
この殺人があった列車に同乗していたジェフはビッキーと知り合い、この事件に巻き込まれてしまう。

ジャケ写はなかなかいい。
所謂ファム・ファタールなのだろう。
ストーリーも面白い方だと思う。

何故ハズレと思うのか。
最大の理由は、このファム・ファタールが中途半端なことだ。だから「なのだろう」と書いた。
グロリア・グラハムが魔性の女にはどうしても見えない。そこがもしかすると魔性なのかもしれないが、映画としては、はっきり描くべきだろう。
ジェフが一目で恋に落ちるような美人でもないし、そんな魅力は全く感じられない。これが最大の理由。

もう一つは、登場人物の表現が曖昧で、何を考えての行動なのかよくわからないところだ。特に主人公のジェフが何を考えているのか、支離滅裂のような気がする。朝鮮戦争から戻ってふわふわの状態ということなら仕方ないが、そんなことを監督は考えていないだろう。
これは、カールにしても、ビッキーにしても同じで、行動が一貫してなくて、何を考えそんな行動をとっているのか、その都度の行動はわかっても、全体的にはよくわからない。
ラストも私にはオチには思えず、しっくり来なかった。私の感想ではハズレだ。
 
#1456 2023年458本目
1954年 アメリカ🇺🇸映画
監督:フリッツ・ラング
製作:ルイス・J・ラックミル
脚本:アルフレッド・ヘイズ
撮影:バーネット・ガフィ
音楽:ダニエル・アンフィシアトロフ
原作:エミール・ゾラ
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