茶一郎

マイファミリー・ウェディングの茶一郎のレビュー・感想・評価

2.0
『僕らの結婚 家族の挙式』

 結婚は恋愛と違って、家系と家系、血筋と血筋とが結び付くとても特殊な儀式。よって、ここに家族間での戦いが生じる。『家族 VS 家族』の家族間戦争において、相手の家族の親戚、友人、つまり相手側の『駒』を知る初めてのタイミングが『結婚式』であると考えると、『結婚式』は戦略的にとても重要な機会だ。

これが同じ文化の人同士の結婚なら多少は楽かもしれないが、今作での国、宗教、文化の異なる家族間の結婚は大変な事態である。
アフリカ系アメリカ人とメキシコ系との結婚、その二者間でのカルチャーギャップコメディ、概ね結婚式にまつわるコメディに分類される一本だった。
 
 監督は、DCエクステンデッド・ユニバースの一作である「The Flash」の監督に抜擢されたリック・ファムイーワ(ファミュイワ)。彼は一貫してアフリカ系アメリカ人の文化に基づく作品を作ってきたが、今作は相対するメキシコ系の文化を登場させたことによって大きな歪みが生じてしまっている。
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 早い話、メキシコ系の家族をコメディの一要素としてしまったことにより浮き出た監督の差別意識が問題である。
劇中では、『結婚』について問題を生じさせるのは基本的にメキシコ系(女性側)の家族。スラップスティックコメディリリーフとしての役割が過剰になり、女性の父親の単なるバカとして描かれている問題、特に最初から最後までアフリカ系を差別するメキシコ系という構図問題含めて訴訟モノだろう。
一番盛り上がるはずの最後の挙式をブチ壊すのもやはりメキシコ系家族側の親戚、と監督はよほど恨みがあるのだろうか。

 結婚式を通じて、お互いを尊重し、異なった文化のものが一つになる。分かりやすく、それぞれの良い所を取り入れた非墨(アフリカ-メキシコ)折衷の結婚式をして、ヤッター!で良いのでは……
最終的には、結婚式の雰囲気に何となくほだされて、何となく仲良くなった家族(ついでに全ての問題は解決)、と結婚式が超万能だということは分かりました。はい。
茶一郎

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