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実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)のharunomaのレビュー・感想・評価

4.3
Leidenschaft
背後から拳銃で撃たれる(勝手にしやがれ)、それも風のない奈良で。
ずっと逃げ続けていた(自己へも応答責任なしの)者の、死。刑務所に入っていたらまだ生きていただろう。相手側が本気になれば、それを止めるすべはない(山本太郎)、これは本当にそうだ。決断の瞬間はひとつの狂気である : ジャック・デリダのキルケゴール『おそれとおののき』。脱社会ではなく、存在の、透明ですらある決断を前に、一体誰が、それを静止できるというのだ。
どこまでもベタなあり得ない最期を迎えるという最高の人為的な演出がここでも凪いでいる。手製のショットガンというオマケまで付いているのはやり過ぎの成功。カーペンターか。ハートまであり、ある意味偉大である。誰にでも出来ることではまったくない。
思想信条(第一保守本流が皆無で、自国を切り売り売国しているのだから、右翼もクソもない、存在と仮象を併せ持った国民国家をくれ patriot、そう言えば現場の目撃者の良いインタビューの青年は、犯人の「存在」に誰も気付かなかったと言っていた、名もなき者の反乱)などどうでもよいが、常々思うのは、無意味な、本当に何の責任もない一般人を無差別にするくらいなら、やはり今回のように本丸かどうか知らぬが何かの代表象徴を標的するのが順当であって、無様な政治家が身を持って引き受けるべきパブリック=エネミーの最後の義、役目である。
すばらしいテロの季節。
「勇気がなかったんだよ」とこの少年は叫ぶが、本当にそうだ、彼には勇気がなかった。
醜悪に生き残った老人たちは、民主主義の根幹を否定する蛮行を許さないと言うが、この凡庸な悪の完璧な遂行を前に、ほとんど、その、無意味なテンプレ・メッセージは、犯人そのものとまったく噛み合っていない空虚さ。民主主義の根幹を壊してきた蛮行そのものが日本の政治政策であって、奇跡的な最期(両者とも)を遂げただけで、この映画は見応えがある。

【 #参院選2022 LIVE 街頭記者会見】山本太郎代表・ #東京選挙区 れいわ公認候補 (2022年7月9日)
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