Omizu

実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)のOmizuのレビュー・感想・評価

3.5
【2008年キネマ旬報日本映画ベストテン 第3位】
若松孝二監督が『突入せよ! あさま山荘事件』(原田眞人監督)に対抗して製作された作品。ベルリン映画祭フォーラム部門で上映され、最優秀アジア映画賞など二冠に輝いた。

若松は対談で『突入せよ』に腹が立った、「警察が正しい、というあんな映画を見たものだから、いまの若い人たちにわかるような映画を作りたかった」、時代背景をきちんと描いて「あの時代とは何だったのか、僕は検証したかった」と語っている。

日本赤軍、革命左派の5人があさま山荘事件に至るまでの道程を描いた作品。これは評価が難しい。

非常に低予算であり、ほぼ密室での会話の応酬で展開されている。あさま山荘の外にいる警察は機動隊が少人数出てくるのみであとは声だけ。

にも拘わらず内容の濃い力作に仕上がっている。森、永田を中心に、自分たちの思想に合わないと判断した人物、または脱走を試みた人物をリンチし「処刑」していく。生々しい言葉と物理的な暴力。

集団ヒステリーのような状態で「総括」「自己批判」「革命戦士」などが繰り返される。

彼らの一途な思想、矛盾した行動を暴力性をもって描き出している。低予算感があふれ出る編集やプロダクションではあるが、それがテーマとも一致し、若松孝二の代表作たらしめているのは疑いようがない。
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