お話探し

死体を売る男のお話探しのレビュー・感想・評価

死体を売る男(1945年製作の映画)
2.5
ボリス・カーロフ演じる運び屋グレイの、前面に出ている「存在自体の不気味さ」は、なかなかだった。2カ所ある殺害場面での「歌声が止まる」「歌詞の内容を聞かせる」演出はどちらも印象的だ。

一方、グレイの影に悩まされる医師マクファレンの造型には、悪い意味で違和感が。最初は「優秀で優しい医者」として描き、グレイと接触した時の反応で初めて「あれ?様子おかしいぞ…」と思わせるのがセオリーだと思うのだが、その手前、診察に来た母娘への対応の妙な冷たさで、既に「怪しい」「なんかあるんだろうな」という印象を抱かせてしまっているため、その後描かれるグレイとの関係が「意外な一面」としてあまり活きてこない。
終盤、グレイを始末したのにまた死体を盗みに行くのも、流れとして飲み込み辛い。(幻聴・幻覚描写は強かったけれど)

題材は魅力的だったけれど、ストーリーは今ひとつ…な一本でした。
お話探し

お話探し