TaiRa

魔法少女を忘れないのTaiRaのレビュー・感想・評価

魔法少女を忘れない(2011年製作の映画)
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全秒エモい。泣ける。非常に奇妙な映画だけど。

ラノベ原作の実写映画としてある意味究極の演出。美少女アニメのクリシェに溢れた内容をそのまま生身の俳優が演じている異様さ。男子高校生に突如出来た妹は元魔法少女である。冒頭から異様にキャピキャピした高校生たちの姿に面食らうがその効果が段々と効いて来て最後には泣いてるっていう。妹のみらいちゃんがお昼寝してる時は必ず窓から風が吹き込み、カーテンやテーブルクロスをひらひらとなびかせる。あとみらいちゃんを徹底して足から撮る。空を飛べなくなった魔法少女が地に足を付けてそこに実在している事を確認する様に。同時に彼女の魔性な魅力を演出する為に。自転車で並走しながら見つめ合う切り返しのエモさは何だろう。背景の草木がもの凄い勢いで流れて行く中、笑顔をこちらに向けるみらいちゃんにどうしようもなく切なさを感じてしまう。階段の踊り場でダンスの練習をするみらいちゃんを見守る視線にも感じる切なさ。魔法少女は忘れられる運命にある。それに抗う様に一瞬一瞬のみらいちゃんを記憶しておこうという眼差しに胸がざわつく。魔法を使えなくなった魔法少女を自転車の後ろに乗せて、空の彼方へ逃避行するクライマックスの勢い、そしてチープな合成映像は大林版『時をかける少女』のクライマックスを思い出す。空を飛べた事を懐かしむみらいちゃんにまた泣く。先生役の前田亜季が「女はみんな魔法少女がいる事を知ってる」と言う。全ての少女はある意味魔法少女だ。いつしかそれを忘れるが、「やさしさに包まれたなら」その魔法は再び使えるって、ユーミンが言ってた。ラストの階段演出はとにかく最高。特に編集が素晴らしい。あと委員長ちーちゃんが告白する長いカット、あれは非常に良い。口調が普通になって行く芝居の上手さ。芝居は森田涼花が抜きん出て良い。
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