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ゲロッパ!のMOCOのレビュー・感想・評価

ゲロッパ!(2003年製作の映画)
2.5
「とうちゃん」(かおり)
「ご免な、長い間一人にして。すいません、すいませんでした・・・」(大介)
「もうやめてよ・・・」


 公開直前の2003年3月3日の夜、心筋梗塞のため自宅で倒れ緊急入院した西田敏行氏は復帰後のインタビューで「ここで死んだら遺作が『ゲロッパ!』になるが、それだけは避けたかった」と爆笑の映画告知をしていた2003年8月公開の映画です。

 最近体調を崩されているようですが、その昔の西田敏行氏は善良な役柄が多いコメディ色の強い俳優で、その個性が爆発したのは 1978年の『西遊記』 1980年の『池中玄太80キロ』でしたが同時に渋い役柄もこなす器用な一面を早くからみせていました。


 あと数日で収監されるヤクザの親分・大介(西田敏行)は、25年前生き別れた娘かおり(常盤貴子)の消息をやっとつかみ会いに行くことにします。

 大介は子分達に組の解散を宣言するのですが三人の子分、太郎(山本太郎)・晴彦(桐谷健太)・健二は猛反発します。
 太郎は大介の片腕の金山(岸部一徳)に相談すると、金山は大介が熱狂的に愛してやまないジェームス・ブラウンに会わせれば組の解散を撤回できるかもしれないとジェームス・ブラウンの誘拐をけしかけます。

 太郎達は名古屋公演に来ているジェームス・ブラウンを誘拐するのですが、誤ってジェームス・ブラウンの物まね芸人ウィリーを誘拐してしまいます。
 ウィリーは上原かおり(常盤貴子)が契約した物まね芸人なのですが、名古屋キャッスルホテルに泊まっているジェームス・ブラウンに会いたくてホテルに来ていたのです。
 ジェームス・ブラウン誘拐の朗報を受けた金山は顔を見るなりニセモノと分かりがっかりしてウィリーを釈放します。
 
 金山はジェームス・ブラウンの公演スタッフにジェームス・ブラウンの貸し出しを懇願するのですが門前払いされ、なすすべなく太郎達と合流するのですが、太郎達がウィリーを誘拐した際、内閣情報調査室員・木下(木下ほうか)の接触があったことを聞き、ウィリーを確保して内閣情報調査室に売り渡してジェームス・ブラウンのレンタル料を稼ぐことにします。

 大介はかおりの自宅を探し当てるのですがかおりは留守をしており、孫娘とかおりの元へ行くことにします。かおりの行き先は愛知県のリゾートパーク・ラグーナ蒲郡(現ラグーナテンボス)、かおりはラグーナ蒲郡での物まねショーをプロデュースしていたのです。

 ラグーナを訪れた大介は太郎達と偶然会うのですが、かおりに会うことを最優先します。

 一目見たときからかおりにアプローチしていた太郎はかおりが親分の娘と知ってびっくりするのですが、25年前自分達母娘を捨てた大介を拒絶するかおりに怒りを表します。
 25年前抗争が激化し、他の組の親分の奥さんが次々と銃の犠牲になっていくために大介は泣く泣く二人と別れたことをかおりは知らないのです。

 大介は淋しくかおりから離れていきます。
 ウィリーは一旦は物まねショーの一行に合流したのですが、かおりに勘違いされ誘拐されていた時間帯に「どんな女と過ごしていたのよ!」と怒鳴られ帰ってしまいます。

 ラグーナ蒲郡の妻子ある支配人・田中(益岡徹)は思いを寄せるかおりに相手にされないため「一人でも出演者が欠けたら契約不履行でギャラはなし」と言いだします。
 ピンチに立たされたかおりは必死にウィリーを探すのですが結局見つけることはできませんでした。

 金子はウィリーを見つけ出し、偶然内閣情報調査室が探しているものを手に入れます。
 金子はそれが何か分からないまま内閣情報調査室員・木下と交渉し指一本(1千万円)を立てて金を要求をします。

 かおりの会社の男が支配人に「半分でいいからギャラをいただけませんか?」と話しているのを立ち聞きした大介は自らステージに立ち、ジェームス・ブラウンの大ヒットナンバー「セックス・マシーン」を熱唱し大盛りあがり、つられてウィリーもステージにあがり契約が成立しショーは終わります。

 大介はかおりになにも告げず人混みの中で駅へ向かい、ずっと大介が母娘を探し続けていた話を太郎から聞いたかおりは大介を追いかけ「とうちゃん」と呼び掛けます。

 収監の日、父娘の別れの時間を阻むかのように非情な迎えがやって来ます・・・。
 ところが、金山が手に入れていたのは海外ではめを外した総理の恥ずかしい姿のネガだったのです。
 内閣情報調査室は金山の言いなり、要求通り?一本指分の一億円を用意した上に超法規的措置で大介は無罪放免となり大団円、さらに要求はエスカレートして・・・。


 西田敏行氏の歌う「セックス・マシーン」観たさにレンタル開始と共にレンタルした『ゲロッパ』は記憶喪失になったかのようにそのストーリーが頭になくただただ笑う映画と思っていたのですが、結構ホロッとしてしまいました。

 エンディングのステージで紹介され歌っているのがデビュー間もない大好きなSOULHEADであったなんて・・・観たはずなのに・・・CD全部持ってるのに・・・ファンになったのはこの映画の後だったのかな???
 ホロッとした後なんだか自分にガッカリしてしまいました。

 エンディングは映画「フットルース」みたいにSOULHEADの「GET UP!」に合わせてキャストがダンスを披露するんですよ!それにしても岸部一徳氏やっぱりダンス上手い!さすがです。

 監督・井筒和幸
 西田敏行・常盤貴子・ 岸部一徳・木下ほうか・山本太郎・桐谷健太・吉田康平・小宮孝泰・益岡徹・塩見三省・長塚圭史・ラサール石井・篠井英介・寺島しのぶ・トータス松本・岡村隆史・藤山直美・根岸季衣 なんてキャストの羅列を見たら観たくなりません?『今、見ようと思ったのになぁ〰️』って悔しそうな顔で西田敏行氏に元気に言ってもらいたいですね。
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