TAK44マグナム

シアター 殺戮劇場のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

シアター 殺戮劇場(2001年製作の映画)
2.8
有言実行、グロ楽しい縄跳び!


韓国産のデスゲーム系スプラッターホラーです。

マジンガー(笑)やらインテリ、サシミ(刺身ばかり食ってるから)やら秘密女と、ふざけた名称(どうしてそんな仇名で呼ばれるのか?には、ちゃんと意味があります)の輩たちが、「スクリーム」を深夜上映しているシアターに集まってきます。
上映が始まると、スクリーンに映し出されたのは謎の警告文。
「この映画は100分です。上映中にあなた方には死んでもらいます。劇場は閉鎖して出ることはできません。生き残れるのは一人だけ、さあ上映開始です」
下手な演出だなと本気で取り合わない観客たち。
でも、ひとりまたひとりと密かに殺されてゆきます。
殺人者はモギリの女、売店の男、そして映写係の3人。
ついに死体とご対面した観客たちはパニックとなり、バラバラになって逃げ出しますが、外へ通じる出口は見つからず、ただただ残酷な方法で血飛沫を撒き散らすのみ。
しかしたった一人、マジンガーだけは怒りに燃え、殺人ゲームの主催者である劇場主を探し出し、そのハラワタで縄跳びしてやる!と、吼えるのでした。


これ、基本的には面白いんです。
よくある設定だし、別に驚くような展開がまっているわけでもないのですが、巧く撮ればそれなりにイイ線いきそうな可能性を秘めていると思うのですよ。
チケット係の女子が、いきなりバッチリメイクをキメて黒のコートに袖を通すと長剣もって殺人鬼に変身!
さっきまでヨダレ垂らして居眠りしていたのに、一言も台詞がないままに嬉々として観客を殺しまわる姿は実に格好いい。
ゴア描写に限っては、かなり力が入っていて、オノで真っ二つとか、内臓デロ〜ンとか、ノコギリで足をギコギコしたり等、血はピューピュー出るわ、すごいことになっちゃいます。
後の掃除が大変そうです。
あ、オマケ程度にオッパイもでますよ。

といったように、スプラッターホラーとして最低限のポイントは抑えてあるのに、演出がドイヒーすぎて全てを台無しにしちゃってます。
こういうのをオサレだと思っているなら間違いだよ、と声を大にして言いたい。
全体的な雰囲気は、腐るほど作られている日本のB級ホラーと酷似。
低予算で、素人に毛が生えたような役者たち。
それはよいでしょう。血みどろホラーを作ろうという意気込みがステキだし。
しかしですね、たまに他でもみたりする勘違いなんですけれど(例えば邦画スプラッターの超駄作「クリスマス・イブ」など)、こういう映像って新しいだろ〜?とかなんとか勘違いして、早回しやまき戻ししてみたり、ごちゃごちゃと映像に加工するのはただただ観にくいだけ!
PVじゃないんだから、そういうのは演出って言わないと思う。
いかんせん独りよがり過ぎます。

これがコメディなら演出としてありでしょう。しかし本作は割と真面目なホラー、決してコメディ路線じゃありません。
BGMがヒップホップ系なのも、作り手の趣味というなら仕方ないのでしょうが、それにしても雰囲気を軽くしてしまうし、せっかくの凄惨さが薄味になってしまって、曲はノリノリなのに気分はノレないというか、とにかく浮いてます。
怖がりたくてホラー観ているのに、わざわざ怖さをスポイルして何がみせたいのよって、本当、こういうのやめてほしいです。
最後に残った殺人鬼との戦いも、ストーリー上は極めて正しい事とはいえ、突然、格闘ゲーム風に体力ゲージが画面に表示されたりするのははっきり言ってアホらしい。
ホラーという体裁だと一気に興醒めです。
タバコ吸ったら体力が回復するのには笑いましたけどね(苦笑)

オチも蛇足、あれは要らんでしょう。
生首も完全に作り物だってモロバレだし。
それにしたって、劇中のワンシーン、自分の足が切断されているのに声を殺して耐えられるわけない。
あまりのリアリティの欠如ぶりですが、そういった意味では(良くできているとは思えない)このオチへの伏線だったのかな?
・・・・いやいや、たぶん何も考えてないんじゃないかと思うし、そんなんだから微妙な出来になってしまうわけで。

不条理な世界観は好みでしたが、いかんせん雰囲気が合わず残念でした。
あ、ちなみに劇中上映される映画は正真正銘、「スクリーム」でして、ドリュー・バリモアやネーヴ・キャンベルの肖像権が心配ですね〜(苦笑)


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