円柱野郎

イングロリアス・バスターズの円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

タランティーノは“アジア映画”、“B級映画”ときて、次に“ヨーロッパ映画”を作ってきましたな。拾いきれないくらいのオマージュが随所に挿入され、さすがの映画小僧っぷりは未だ健在の様子です。2時間半を5章仕立てで描かれているけど、第1章などは主人公であるはずのバスターズが出ても来ない。むしろこの章の主役はユダヤ将校のランダ大佐であり、この映画全体の軸にもなっているその魅力的な悪役っぷりには敬服。演じているクリストフ・ヴァルツの食えない演技が見事なんだよね。彼を使った会話劇による緊張感の出し方などはいかにもタランティーノの映画らしい。
逆に主人公であるはずのバスターズ、ブラッド・ピット達は作戦が上手く進まず、あまつさえ捕まってしまうし。並行して進むユダヤ女性の復讐劇も肝心なところで邪魔は入るわ死んじゃうわ(!)、このあたりのブラックな感じや意地悪な展開が面白い。そしてヒトラーをホントに殺してしまうなんて展開はもうビックリ。ああ、これは映画という虚構が虚構であることの証であり、それこそが映画の面白さなんだと気づかされたりもする。史実に忠実であることに意味なんて無いというのかw さすがはタランティーノ。
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