「掘った奪った逃げた」と同じく、1976年に南仏ニースで実際に起きた無血の銀行強盗事件を描いた英国版。
しかもフランス版と同じく、事件から三年後の1979年に公開されたみたいですね。
どちらも犯人の手記を忠実に映画化しているらしく、犯行の一部始終はフランス版と概ねそっくり。まるで同じ映画を二回観ているようでした。(笑)
しかし、こちらは主人公をコワモテのイアン·マクシェーン(ジョン·ウィック三部作に出演)が演じており、フランス版のフランシス·ユステールが漂わせていた優雅さや"ルパン三世っぽさ "は、まったく感じられません。
他のメンバーもいかつい性格ばかりが強調されており、個々の登場人物に感情移入しづらい点は、好みが分かれるところでしょう。
そのかわり"政治犯組"と"ギャングからの出向組"という、犯行グループ内の反目や信頼感の脆さ、そして一触即発の危うい空気をうまく描いており、結末がわかっていてもハラハラしてしまいます。
言い換えると、こちらの方がよりハードボイルドな作風なんですね。
ただちょっと残念なのは、「掘った→奪った→逃げた」の起承転結を倒置&反復してしまったこと。
作り手がツカミにこだわった結果だろうけど、「逃げた→掘った→奪った→もいちど逃げた」では、なんとなく締まりが良くない感は否めませんね。
ちなみに主犯のザ·ブレイン (アルベール·スパジアリ氏)は、逃走のあと見事に姿をくらまし、その後いちども捕まらなかったそうです。
さて、お次はピーター·フォーク主演のこちらも実録ケイパーもの「ブリンクス」を観よっかな♪