Jun

駅馬車のJunのレビュー・感想・評価

駅馬車(1986年製作の映画)
3.8
様々な過去を持ち、それぞれ異なる職種に就く登場人物たち全てが魅力的に描かれている。西部劇でありアクション映画に違いないが、彼等の人間模様を捉えたヒューマンドラマとして観ても非常に見応えがある。
しかし何と言っても最大の見所は、川超えの後にジェロニモ一派が突如襲い掛かり、そのまま銃撃戦へとなだれ込むアクションシーン、そしてクライマックスの3対1の決闘を描いた後半だ。ジェロニモ一派が荒野を走る駅馬車を見下ろす場面からアクションシーンへ移行するスピード感は正に圧巻の一言。ここで観る者は、映画の世界へ否応なしに引き込まれる。この上ない疾走感だ。映画評論家の淀川長治氏はこのフィルムを38回観たと公言しているが、根源的な映画の面白さは運動性に付随するエネルギーにこそ宿るのかもしれない。

ところで駅馬車が走る姿を少し引いた位置でカメラが捉えたシーンは、そのほとんどが斜め後ろから映した構図だ。奥行きを感じさせる構図一つとって見ても心惹かれるものを感じさせる。
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