猫脳髄

鮮血!悪夢の卒業式の猫脳髄のレビュー・感想・評価

鮮血!悪夢の卒業式(1981年製作の映画)
3.5
2002年にトロマがソフトを配給し、スラッシャー・フィルム・ドキュメンタリー「封印殺人映画」(2006)でフッテージと監督のインタヴューが取り上げられたことで「再発見」された、いわゆる「記念日モノ」の80年代正調スラッシャー。

陸上競技中に亡くなった少女が出席するはずだったハイスクールの卒業式を迎えるなか、陸上チームのメンバーが一人またひとりと何者かに惨殺され…という王道の筋書き。監督ハーブ・フリードへのインタヴューによれば、「ハロウィン」や「13金」でスラッシャー・フィルムの構造を研究したそうだ。

「筋は単純に、(殺人)描写は濃密に」というスラッシャー・カノンに則して、ティーンたちに殺人鬼の魔手(黒手袋のジャッロ風!)が伸びるが、レイピアとアメフトボールが融合した謎凶器や、夜中にフェンシングの扮装で女生徒を追い回してみたり、エッチラオッチラ罠を仕掛けて高跳び選手を屠ってみたりとバラエティに富んでいる。一応、亡くなった少女の姉を主人公に謎解きシークエンスは噛ませてあるものの、全員に容疑がかかるヘンテコ描写で意味がない。

極めつけはクライマックスの「行ってきます!ただいま!」描写(意味不明だろうが、ネタバレしないギリギリの表現と思っていただきたい)で、度肝を抜かれる最高のシークエンスである。陸上コーチ役のジャンル俳優クリストファー・ジョージの熱血演技や、同じくジャンル組のマイケル・パタキ校長のコメディリリーフも楽しめる娯楽性で、なかなかの佳作といってよい。
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