これは麻薬ホラーの傑作。
麻薬の恐ろしさをエルマーという小怪物に置き換えた話なんですわな。
エルマーが分泌する液体を脳に注入すると、激しい快感と幻覚症状が現れるんですよ。オンボロの廃車の山が極彩色のイルミネーションのように輝いて見えたりするという。
で、エルマーと共生する人間はこの快感が止められなくなるし、間を置くと禁断症状が出てしまうので、エルマーの人間狩りのお手伝いをせざるを得なくなってしまうって話なんですー。
この設定を聞いた時点で、エルマー=麻薬、と解釈できるんですが、その幻覚描写はかなり力が入っていて、さては作り手も経験者か常用者かと疑ってしまうレベル。
監督は不朽の名作「バスケットケース」のフランク・ヘネンロッター。
商業的に成功したデビュー作「バスケットケース」に続く2作目が本作。しかし、その間には6年もの長きブランクがある。成功者がなぜ次回作にすぐに取りかかれなかったのか?
さてはヘネンロッター、デビュー作で儲けた金をおクスリに使い果たしたな?
おクスリに夢中になった彼は使い物にならず、映画製作どころではなくなってしまった。が、長年の放蕩生活とリハビリの末にようやくおクスリを断ち切る。
麻薬の快感と恐ろしさの両面を味わい尽くした彼が自らの経験を反映させたのが本作である。(脚本もヘネンロッター)
健全になった彼は本作以降は「バスケットケース2」など、ハイペースで映画を撮ることになる。
以上、あくまで僕の妄想。
でも、本当にそういう風にしか見えないんですよ、本作は。基本的に麻薬に対して否定的な内容になっているし。
「バスケットケース」と同じく大都会が舞台なんですが、どこか人情味溢れる下町っぽい大都会であった前作とは対照的に、本作の大都会は冷たく、人と人の距離が遠く、殺伐とした雰囲気。
やっぱり、ヘネンロッターはこの間に何かあったな?