netfilms

デッドエンド 暗戦リターンズのnetfilmsのレビュー・感想・評価

3.7
 1999年の『暗戦 デッドエンド』の続編。前作においてアンディ・ラウを最後まで追い詰めたホー刑事(ラウ・チンワン)はそのままに、また新たな敵が現れ、彼らを苦しめる。来週末に合併話を控えた敏腕女社長(ケリー・リン)のもとに、何者かが身代金の要求をする。犯罪に巻き込まれていることがバレたら、合併にも支障が出ると判断した女社長は極秘裏に話を進めようとするが、その電話を盗聴していたホー刑事が現れる。前作から2年が経過したが、相変わらずのラウ・チンワンとホイ・シウホンの関係性が面白い。フットワークの軽いホー刑事をまるで邪魔するかのようにホイ・シウホンは金魚の糞のように付いていく。ジョニー・トーは前作でもお気に入りだった屋上での立てこもりの場面に、また新たな交渉人ラム・シューを配置し、コインの裏表を賭けながらホーの到着を待つ。立場は変わらないものの、ホー刑事の洞察力は相変わらず鋭い。強調するのは、ホー刑事と犯人であるイーキン・チェンの友情にも似た関係性である。イーキン・チェンはまるでこの犯罪を最初から最後まで楽しむように、ずっと笑顔でいる。そんな彼を追う側のホー刑事は四面楚歌な状況にも関わらず、イーキン・チェンを追い詰めるゲームを楽しむ。

 ホー刑事はなかなかの判断力と洞察力を見せるが、肝心の香港警察のダメっぷりは前作以上に酷い。今回は犯人であるイーキン・チェンに警察本部まで侵入を許し、まんまと現金を強奪される羽目になる。音に撹乱され、全員が署の部屋を離れた隙に、男は堂々と押し入り、警察権力を力づくで粉砕するも、彼の目的は警察の壊滅ではなく、あくまでホー刑事との危険なゲームなのである。途中、鷹だか鷲を探す場面で、ホー刑事はケリー・リン扮する敏腕女社長の車に同乗するが、2人は至近距離での肌が触れるすれ違いの中で、なぜかお互いを意識する。警察内部での力関係を示す上で、ルビー・ウォン扮する警察署長が出て来たのは大きい。彼女は最初は組織を統率する側の人間として振舞うが、心の底ではホー刑事を応援していることを示す素晴らしい場面がある。屋上〜タクシーと前作と同じような描写が並んでいるが、クライマックスの展開は一味違う。最後のクリスマスの場面でハタと気付いたが、ひょっとしたらジョニー・トーはこのシリーズで『ダイ・ハード』がやりたかったのではと思った。
netfilms

netfilms