1970年代後半ともなるとマカロニウェスタンも活況を失い、イタリア流なんでもありの娯楽精神もどことなく色褪せていてどことなく寂しい。
でも一方でかつて村に居た男が再び村を訪ねる展開や、過去に因縁のあった三兄弟や仲間との葛藤に満ちたドラマなど古典劇を彷彿とさせる格調のある作劇が独特の面白さを醸し出している。スローモーションや距離感にこだわったアクションも印象的で、ラストの出産するヒロインと主人公と三兄弟の無言の対決を交互にみせていくシーンの美しさと格好よさに痺れる(『インディアン・ランナー』のあれは
ここからインスパイアされたのか?)。
インディアンの混血という主人公のケオマをフランコ・ネロがクールに演じているが、あまりインディアンに見えず髪型といい髭もじゃな顔といいどことなくヒッピーに見えてしまう。ちなみに回想シーンで出てくる子役がどう贔屓目に見ても白人なのに苦笑。
ちなみにこの映画でのフランコ・ネロはゴルゴ13ばりに無言なのだが、その分よく流れる主人公のケオマについて語るソングで彼の状況や感情が把握できるというミュージカルや民話みたいなスタイルで展開するので戸惑いはあまりない。
冒頭での現在から過去を回想していくシーンをワンカットで表現する映像表現がかっこいい。
…見終わったあと、町に流行病が流行っているという設定は必要なのか疑問に思ってしまうはず。