Jun

日本の夜と霧のJunのレビュー・感想・評価

日本の夜と霧(1960年製作の映画)
3.6
六十年安保闘争の時代背景に大きく影響を受けた、大島渚による実験的なフィルム。暗闇の中、これから語られる回想シーンの主要人物を照明の下に照らし出す演出が印象的であり不気味だ。
高尾の死と失踪した北見を軸に物語は現在と過去とが入り混じって展開され、次々と明かされる真実が結婚披露宴の最中であることを忘れさせ、政治論争を引き起こす。答えの出ない問題に対して各々が自身の意見を述べる様はまさに混沌とした時代を映していると言えよう。当時主流だった学生運動が帰属意識と無関係ではないことが伺い知れる。何の解決もされない幕切れと決して出口の見えない様相は、本作のタイトルに集約される。
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