ラリー・コーエンがめずらしく監督までやっている。
ラリー・コーエンの映画は、時間のなさと予算のなさのせいで撮影も編集もかなりいい加減な物が多いが、自由奔放な物語の作り方は『子供心を忘れない大人のマニアックな遊び』のようで、どんな映画でも楽しそうに脚本を書いている彼の姿が浮かぶ、作品を観ていて可哀想になる程だったりもする。だが憎めないB級作家だ。
サスペンスなのにホラーチック感があり、でもそれはあくまで雰囲気で、物語は正真正銘のヒッチコック的サスペンスだ。
悪役が冒頭から出ずっぱりで、神秘性や不気味さがもの足りないのを割り引いたとしても、登場人物の魅力とジェットコースタームービーを思わせるテンポの良さで飽きさせない。レンタルビデオ屋ではホラーのコーナーに置かれがちだが、サスペンス・アクションなので、臓物とか怪物が苦手な人も安心して見て欲しい。