あき

ゴーン・ベイビー・ゴーンのあきのレビュー・感想・評価

ゴーン・ベイビー・ゴーン(2007年製作の映画)
3.5
とても難しいテーマをはらんだ映画だ。
結末だけ見れば、パートナーが去った判断は理解できるし、モーガンフリーマン等の取った行動も道義的には正しい。
でもぼくは、”人は絶対変わらない”と去って行ったパートナーの考えには寒気がしたし賛同できない。
楽観的すぎるのかも知れないけど、人は変われると信じたい。でなければ、救われない。
もし自分がなにか不都合を起こして信用を失ってしまったとき、その後一切周りから全否定されて今後変わると誓っても一生誰からも許してもらえないとなったら、自分の身に置き換えたらそれはものすごく恐ろしいことだと気づくだろう。
人は失敗や後悔を経て成長していくものだ、本来ならば。
だから心を入れ替えると誓った母親を信用して子どもは実の母親と一緒にいるべきだとする主人公の取った行動をぼくは支持するし、ぼくも同じ状況だったら同じ行動を取る。
”観る側”はあの結末を知ることができるからこそ主人公を否定できるけど、結末を知らず実際の出来事の現在進行形の途上にいたとしたら、悩まずパートナー側に立てるだろうか。
子どもは最後の最期まで、親を信じ頼りすがってくる者だ。だからこそ、親は決してその気持ちを裏切ってはならないし、ダメな親でも子へ愛情を持たない者などいないと信じたいし、子どもは実の親と一緒にいるのが本来の幸せだと信じたい。
なのに、と考えてしまう。
現実はいつも明確な正確が提示されているわけではないから、後悔という念に苦しまない人生なんてないのだ。
ほんと難しいテーマをはらんだ映画だ。
あき

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